巴里便り~今昔★オートクチュール修行@70年代

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お針子

1972年5月30日(火)
庭のさつきが満開との事、お父さんの嬉しそうな顔が目に浮かびます。 でも朝4時から起きているそうで、夜はなるべく 早く寝て下さい。 無理するとお父さん、お母さん共に体を壊してしまいます。
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私は相変わらず夜鷹の朝寝坊。 朝7時に目覚まし掛けてあるので目は覚めますが、二度寝で7時半頃マダムが声を掛けて呉ます。 それで起きないとアウト。 目覚ましが鳴ると直ぐ枕元のスタンドを付けて、ラジオの スイッチも入れて~  そうしないと寝過します。

フランスはラジオ局が沢山あるそうですが、下宿もアトリエも古く性能が良くないのか一局位しか入りません。 朝から  晩迄、ニュースと30分刻みに、時報を入れながら音楽が流れています。 シャンソン、ポピュラー、クラシック、ジャズ等~あらゆる曲が流れます。 残念ながら邦楽は無し~ アトリエでは皆が知っている曲になると、鼻歌交じりで仕事です。

先週の金曜日、店のマダムのブラウスを作りました。 既に二枚作った同じ型で~ 前立てにフリルを付けた手の掛かる仕事。 マダムは土曜日に出掛けるので金曜日の朝、仮縫いして夕刻までに仕上げる事になり、それこそトレヴィット~~大至急です。 夕刻7時半に仕上りました。

絹の白地にグリーンの細かい水玉のブラウス。 布地も綺麗でしたが仕上ったブラウスはとても綺麗でマダムは大喜び。今迄、余り風当り良く無かったのに、急に態度が変って来ました。 他の人達からも繊細で丁寧な仕事を褒められます。 時に丁寧過ぎるのも災いする様です。 変に几帳面な性格が有るので中々手が抜けません。 でもこの頃は仕事を認めて呉て、早く早くと言われ無くなりました。 

一週間終ると、肩に重りを乗せた様に疲れ、両肩がものすごく凝ります。 アトリエで話すと『それはクチュリエ:お針子の病気だから、クチュリエを辞めたら治る』と言われます。 急ぎや細かい仕事の日は、一日終るとホッとします。 

日本に居た頃の様に~『さて今日は何をしようか? 何をして時間を潰そうか?』と考える毎日より楽しくて仕方有りません失敗して憂鬱になっても、次ぎの日はカラット気分を変えて出勤。  最近は仕事が認めてもらえて  来たので一生懸命やって、今まで殆どモニック一人に任されていた、コレクション用のワンピース等の仕事を、少しでも多く任せて貰える様、秋まで頑張りたいと思って居ます。 

クチュリエール:お針子がこんなに重労働だとは思いませんでした。 体と神経を一心に集中して体力使って~   今迄、甘く生きて来た事が解りました。 では又、書きます。
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by paridayori | 2011-05-30 05:42 | 絵画 & 美術 | Trackback | Comments(0)

~続き

1972年5月27日(土) 
この手紙、眠いのが手伝って24日~3日掛り~ 今週末、石蔵さんが来る予定です。 他にオペラの勉強に
来ている友人も、住所変更の手紙書きましたら、早速電話があり日曜日、遊びに来るそうです。
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今月はドイツへ二度も出掛けたので倹約しないと~ 貯金どころでは有りません。 でもドイツ迄200フランで往復出来るのですから安いですね。 

お母さん血圧が高いそうで気を付けて下さい。 のんびり~何処吹く風~と言う風に… クレギーのママは本当にのんびり型。 太った体型もですが、心もテキサス人らしく、ゆったりしています。 少々の事では驚きません。

前回訪れた時 『クレギーが、年上の子に水掛けられてる』 と近所の子が知らせに来ました。 普通なら可哀想にと急いで飛んで行くのでしょうが、ママさん慌てず、髪の毛、洋服がびしょ濡れのクレギーを見ても驚かず、
家へ帰って着替える様に指示しただけでした。 

さて長々書いていても限が有りません~ 色々な思いが浮かんで来ます。 今日はこの辺で終ります。 
では又。 何時もながら乱文ですみません。
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by paridayori | 2011-05-27 06:22 | 花:植物:自然 | Trackback | Comments(0)

追憶

1972年5月24日(水)  
今日は何と無く気の重い一日でした。 お天気も時々雨混じりの曇り空。 ドイツの写真を見て、もう二度とこの 人達と逢えないのか~と思うと心が沈みます。 テキサスへ出発前に、もう一度逢いたい気もします。
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b0201617_6384589.jpg赤ん坊の頃の面影が残るクレギーを見ると、小金井の想い出が昨日の様に目に浮かびます。 犬のごんべの洗面器の水を飲んでしまったり、運動場で体操をして居る生徒の中に、おむつ姿で飛び込んで行って如何しても動かず困ったこと… 我家では皆、其々違った思い出を残しているでしょう。 写真を見てお分かりの様に立派に成長しました。

絵葉書はベニーさんとママさんからです。 『日本のパパさん、 ママさんに』と両親への贈り物。 楽しかった多くの事、一人で楽しむより少しでも皆様に知って欲しいと思い沢山書きました。

お父さんの手紙にも有りましたが『自分が会って居る様な気がする…』と思って頂けると、有りの侭を写真に撮り書いた甲斐が有ります。 お父さん、クレギーのパパさん、そして家族、皆、 自分の好きな事に一心に打ち込める趣味、仕事を持っていて 幸せだと思います。

『思って居るより行動に移す』本当に思うだけなら誰でも出来るでしょう。 行動に移す事は強い精神力と判断が必要だと思います。 私の場合は『成る様に為る』で突っ走ってしまいましたが~ 

然し転職する度に悩みました。 日本ビクターを退職する時が、一番大きな転機でした。 そして二度目が渡仏。 その間、エドワーズを経験したり~この4~5年の間に何回人生の『岐路』が有ったか~ でも何時も根底には『好きな道』と言う単純な思いがありました。 お父さんが可愛がる植木、お母さんが預った子供達、皆其々に  愛情が注がれています、今の私は服作り~

最近は仕事が前より大分、早くなりました。 何時も心の中でヴィット:早く~と言う言葉で呼びかけながら自分を追い立てています。 仕事自体は綺麗だと褒められます。 袖山、袖下等、一番難しい袖付けは最近一度か    二度でOKが出ます。 私自身も目が慣れて来て『ここがおかしいけどまあ良いかな~』と思って見てもらうと  案の定やり直しに~ 

アイロン掛けは相変わらず苦手です。 重い舟形の大きなアイロンなので長く持っていられません。 ウッカリ置くと焦げてしまいます。 一つ一つ卒業して行かねば~最近、直し仕事の他は薄手のブラウスが多く、手の掛る細かい仕事を任されます。 薄手ブラウスのボタンホールの手かがりは奇麗に仕上げるのが難しく是も苦手~
未だ未だ頑張らなくちゃ…!
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この下宿のマダムも良い人で孫の様に可愛がって呉ます。 夏には如何しても海へ連れて行かれそう~ 夏物は持って来てないので作り始めましたが、ドイツに出掛けたり、毎日仕事を一生懸命やっているので肩がこり、自分の物まで手が回りません。 仕事が面白く身が入って来ました、良い事です。 

指先や手は針の穴やアイロンの火傷で傷だらけ~その上、アイロンが重い為、週末近くなると右手が疲れます 
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by paridayori | 2011-05-24 07:13 | 空:雲 | Trackback | Comments(0)

再会 

1972年5月23日(火)
日本でクレギーのママに逢ったのは、私が未だ14~5歳の頃でした。 今、私も彼女が来日した同じ年頃になり、二人水入らずで辞書を片手の会話。 でも色々理解し合えた事は嬉しいです。 下手でも通訳を通さず直接、話したり聞いたりする方が、お互いの理解が深まります。
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≪ドイツ:ELTVILLE≫
ママさんは『(彼女の)母、姉妹はテキサスに生れ育ち生活して居て、他国を知りません。 でも自分はテキサスを飛び発ち日本人の家族に出会い、外国で多くの経験をしました。 貴女も日本を出て異国で生活する事は   大変良い経験です。巴里の友人を大切に』と、まるで姉妹とでも話している様な、アドヴァイスを頂きました。

一回目に訪れた時はそれこそYes、Noだけで、英語を殆ど忘れていました。 が二回、三回と訪れる度、理解を  深めようと必死で単語を思い出しました。 帰りには知って居る限りのあらゆる感謝の言葉を述べました。    前回は夜行列車だったせいか別れ際、泣き出したくなりましたが、最後かも知れない今回は昼間だったせいと、別れが彼らの幸せに繋がる事なので、笑顔で別れました。 

ホナカー家がテキサスへ帰る事は、彼ら一家が長年望んで来た事。 テキサスに帰れば今後は希望する職を    選べるそうで、ベニーさんは軍隊を退役して好きな仕事をしたいそうです。 昔から手を油に染めて~大好き    だった車の仕事を~

ドイツ在住中のこの一年程、ベニーさんはベトナムへの仕事が多かったそうです。 救急隊で負傷兵の救助の為、週に2~3回往復するそうですが、余りに悲惨で『ベトナムの仕事は一年で沢山だ』と言っているそうです。 ベースに住む米国人家族は、早く、ベトナム戦争が終って帰国出来る日を望んでいました。
 
ベニーさんの仕事、彼女のサン・アントニオ時代の話、子供達の事等、沢山話しました。 洋裁の話もテキサスのお母さんから送られて来る型紙、生地を見せて貰いながら女同士のお喋りは尽きません。 もっと英語が自在に話せれば~色々お喋り出来たでしょう~~

フランクフルトを発ったのは16時15分、素晴らしく晴れ渡った日でした。 目に入る風景を全て詰め込もう~    何一つ見逃すまい~と窓にかじり付いていました。 五月半ばの夜8時、未だ陽の高いドイツの平原を走り抜ける車窓からの眺めは、私が描ききれなかったヨーロッパの景色でした。
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果てし無く広がる大地。 放牧された牛の小さな群れが其処此処に… 平原の合間~合間には小部落が~  文学的才能の乏しい私が、この美しさを表現するには、余りにも難し過ぎる印象深い風景でした。 

学生時代、読書しなかった私ですが、少ない中でも好きだった《怒りの葡萄》  読みながら描いた風景に似た  ものを、この大地に感じました。 絵葉書、映画そのものの様な~ 大地を走る汽車の旅、西ドイツの自然も又、忘れられない経験、思い出の一ページを心に綴る事でしょう。 

巴里へ着いて駅から下宿へ電話を入れたのが夜11時。 11時半に下宿に着きました。 
部屋の枕元のスタンドが燈され、ベットカバーは取り除かれ直ぐに寝られる状態になって居ました。
優しいマダムの心遣いに感謝です。
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by paridayori | 2011-05-23 08:49 | 風景 | Trackback | Comments(0)

新しい下宿 

1972年5月16日(火)
5月も半ば未だ寒い巴里の春です。 2~3日前には雷を伴った雹が降ったり、夕立の様な突然の雨もしばしば。 如何お過ごしですか? 皆様、お元気の事と存じます。 14日は「母の日」でしたね、何も出来ませんがホナカー家の写真を贈り物と思って下さい。
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此処に住み始めて半月、どうにか居られそうです。 マダムは良く喋り笑い色々して呉れますが、少々うるさい時もあります。 まあ、一緒に住み始めると居ないと寂しい??かも~ 

日曜日にはマダムと一緒に裁縫をしました。 サロンのテーブルでマダムと向かい合って、テレビを見ながら仕事していると、家の座敷でお母さんと一緒に、歌舞伎のTV中継を見ながら仕事した頃を思い出します。 テレビは古い映画で昔、同じ物を日本で見た事が有ったので、良く解り仏語の勉強になりました。 

昨日はエリザベス女王の巴里訪問。 こちらのTVも来る前日は、女王の色々な記録映像を放映していました。 シャンゼリゼ通りはロンポワン広場から凱旋門まで、英仏両国の国旗が掲げられました。 国賓の公式訪問の時は両国の国旗が掲揚されるそうです。 

最近は毎日、TV見たりラジオ聞いたり、アトリエの仲間からも日本に関したニュースを聞きます。 沖縄返還の事も報道されました。  フランスのTV局は国営二局だけで、一日中は放送していません。 ラジオは一日中
ニュースと音楽を流していますが… 日本のニュース何でも良いですから教えて下さいね。では又
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by paridayori | 2011-05-16 04:37 | 花:植物:自然 | Trackback | Comments(0)

給与事情

1972年5月10日(水)
今日、お母さんからのお便り届きました。 有難うございます。 目の悪いお母さんに書いて頂いて本当に感謝  しています。
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手紙に≪遅くとも二年半位で≫ と書いて有りましたが大丈夫です、遅くとも二年で帰ります。  日本に居ても  毎日一緒に居られる訳では有りませんが~ お母さんが広い部屋で一人針仕事をして居る姿や、ポストを開けに行く姿が目に浮かび、毎日便りを書かなければと思っています。 

この下宿に来て、マダムに指示されながら料理の手伝いをして居ると、家では≪誰か、お母さんを手伝っているかな~?≫などと考えます。

今働いているアトリエ、普段は良いのですが、支払いの時になると何時も揉めています。 私は仕事も遅いし   見習中の身と心して居ますので腹は立ちませんが、他の外国人達は何時も泣き寝入り『仕事は沢山、支払いは少し、パトロンは良くない』と怒って居ます。

モニック曰く『彼らフランス語が良く話せないから、パトロンは利用して居て良くない』と… どちらにしてもサロメの他の、オートクチュール店を見付けたいです。 其れまでは幾ら文句を言われても技術修得の為、遅くても丁寧な仕事をします。

以前のマダム・フリーマンの下宿で燐室だった19歳の日本女性が、時々遊びに来ます。 彼女は9歳の時から日本で仏語を勉強していてペラペラ。 引越しを手伝って呉たり、夏に此処のマダムの別荘へ行ける様だったら  彼女も一緒に行く予定です。 

こちらの一人暮らしの婦人が老後を寂しく送っている姿を見ると、早く帰り親孝行したい気持ちです。 こうして  自分勝手に飛び出して来た事が、どんなに親不孝だったか今更ながら感じています。 ホナカー家との再会がせめてもの親孝行と思って下さい。ドイツに居る間に何回も逢い度いですが帰り際、別れの寂しさを考えると~ 

彼らは十年以上も逢って無かった友人とは思えない程、暖かい人達です。 お礼状は出しましたが日本からも   便りして下さい、きっと喜びます。 では又。。。
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≪ドイツ:ライン河沿風景≫
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by paridayori | 2011-05-10 05:39 | 花:植物:自然 | Trackback | Comments(0)

スマート   

春~ 巴里の街を爽やかに走り抜ける オシャレで楽しい ≪スマート≫ のペイント車~~~
外に出ると家の前に ≪スパイダーマン≫ が~~~ ヴィット・フォーカス!?!?!
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アッ≪SWATCH≫!!社会党本部の真前に駐車~?! まさか次期大統領候補DSK氏~?! では無いでしょう~~
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ペイント車は巴里だけでなく音楽の都~~♪♪ オーストリア・ウィーンでも~~~♪♪♪
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懐かしい1900年代:ト―ネ社の椅子や ウィットマン社のソファ~~ アンテック家具の宣伝カー?!!
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by paridayori | 2011-05-03 02:07 | 趣味 | Trackback | Comments(0)
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夢を叶えた落ちこぼれの巴里修行


by paridayori
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