巴里便り~今昔★オートクチュール修行@70年代

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カトリネット

1972年11月24日(金)
大変幸せな一日でした。 朝は和江さんからのお便りも届き…  明日11月25日は 【聖カトリーヌ】 カトリネットと称して クチュリエのお祝いの日でも有ります。 日本の針供養の様にお針子さんのお祝い~  マダム・シモンヌに聞いた話ですが・・・     ≪↓ テッド・ラピドスの手描きデッサンを染めたシルク地 ↓≫
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☆☆ 昔、カトリーヌと言う25歳で独身のお針子さんが、聖カトリーヌの日に教会へ行き針を 一本立てて願い事をしたそうです。 その年に恋人が見つかり目出度く結婚~ ☆☆

その言い伝えから11月25日の聖カトリーヌの日を《カトリネット》と称し、クチュリエで25歳の独身女性を 《カトリネット》 としてお祝いするそうです。 その年に素敵な相手が見つかり結婚出来ます様に~ と言う事で 今年の《カトリネット》は 私でした。 

カトリネットはパトロン (雇用主) からお祝の帽子を被せて貰い、皆に祝って 頂きます。  帽子は工夫を凝らした手作りで、ラピドス氏の手描きのシルク地、ワンピースの柄でおなじみの ≪プペ(人形)ラピドス≫ の 髪型。    黒の毛糸に ≪黄色と緑=カトリネットの色≫ のリボンを 結んだ可愛い帽子でした。 
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皆からは素敵な贈り物を頂きました。 丸い大きな吹きガラスのロウソク立てと、アザレヤの鉢植え、そして大輪の黄色いバラ。ラピドス氏は旅行中の為、副社長が出席 『是は皆からの贈物ですから全員に感謝のキスを…』 と、一人一人の 頬に交互2回ずつ4回のキス 支店のスタッフも合わせると多勢で、恥ずかしいやら~ 照れくさいやら~  でも嬉しかったです。

こんな経験したくても出来ないし丁度の年に当たるとは幸運と言うべきか~ 年を聞かれる度に『カトリネット!』と言われていました。 11月に入ってからは色々話題になり、今年は土曜日なので一日ずらして今日、金曜日、とうとう≪カトリネット≫になりました。 
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ホームパーティならともかく大勢の同僚の前で、主人公になるのはとても苦手。 日本でさえ嫌なのに、まして  言葉の解らないフランスで~ 若し家に居たらきっと帰るなり騒がしく、お喋りが尽きないでしょう~ 早速、頂いて来たローソク立てに火を灯し、さつきの鉢を前に~ お喋り代わりに筆を走らせて居ます。 

一昨日はモニックの家で夕食の時、姉妹二人に『ボンヌ・カトリネット!』と祝って貰い、昨日はサンジェルマンの友人から『ボンヌ・カトリネット!』と電話で祝言を頂きました。 昨晩は運動会の前夜、徒競走を考える様な… 卒業式で証書をもらいに前に出て行く様な~ そんな思いで寝付かない夜でした。 この喜びを忘れず一生懸命仕事をしようと、気持を新たにしました。

お母さんの手紙、未だ着いてません。 目が悪いのにせっかく書いて下さった手紙、届かないのは残念です早く到着するのを待って居ます。 腰痛は如何ですか? 呉々も体に気を付けてお過ごし下さい。

こんなに遠くからでは何も出来ません。 手紙を書く事だけが私に出来る唯一の孝行です、少しでも心配を少なくして頂ける様、そして未だ見ぬヨーロッパを想像して下さい。 良い想像が出来る様な手紙を書きたいのですが、何分にも文才は ゼロなので、相変らずの慌て者を想像して吹出して下さい。 気分の重い時はどんな慰めも気が沈みますが~~  

でもお天気の様に晴れ、曇り、雨を考え《成るように成れ》で成り行きに任せて~~  さて頂いて来たさつきですが、どの様に面倒見れば良いのか、水のやり方とか~ お教え頂き度く宜しく。 さつき屋~?? の娘にしては  誠に嘆かわしい質問ですが。 でも、是は嬉しい贈り物でした。 では、又。。。
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≪バルコーンで咲いたオースティン・ローズ:ゴールデン・セレブレーション≫
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by paridayori | 2011-11-24 08:01 | 自作:ファッション:小物 | Trackback | Comments(0)

アトリエの話題

1972年11月19日(日)
朝から吹き降りのみぞれ、とても冷たい一日でした。  先週、通りで偶然エドワーズの友人に逢い今日の約束をした為、寒いけれど出掛けて来ました。 約束場所のシャンゼリゼ通りは人影もまばら。  何時も観光客、買い物客、プロムナード等、多くの人々で賑わっているあの広い歩道が静まり返っていて、心細くなりました。  でも友人とは色々お喋りしたり楽しい一時でした。
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昨日、土曜日の夕方には新居に移って初めての来客。 オペラの勉強をしている日本女性が見えて、夜遅くまで食べたりお喋り…  彼女はコンクールが間近な為、当分逢えないと言って、その分頑張って色々話して行きました。 昨晩はおぼろ月夜でとても冷え込みました。

今、紳士服のアトリエでは男子用の子供服を作っています。 是は全てサンプルで型紙と、一緒に日本の百貨店のアトリエ宛に送られます。 子供服のコレクションを行うそうです。
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アトリエの話題もう一つ。 この所、大統領夫人マダム・ポンピドーの仕事が多く、型は人形柄プリントのシルクでシャツスタイルのワンピース。  相変らず袖口、衿が私に廻って来ます。  素材が薄く固いキャンバス芯を張るのも気を使います。 
     
先週、一枚仕上った時、そのワンピースを巡ってシェフ・マルタとシモンヌが大ゲンカ、と言っても口争いですが。 然し、シモンヌの方が誰の目からも正当なので、アニタは飛出して行きました。 二人共泣きべそ~  こちらの人は相手がシェフであろうと、思った事をズバリ言ますから~ 其れにしても始めての経験なので少々びっくり。 

巴里の花屋さん。 ショーウィンドーには今年も、アザレアのシーズンが訪れました。  お父さんのさつき、巴里に来たら相当立派ですネ。  先日、街角の花屋さんで小さなのを買おうと思いましたが、植木の扱いを知らないので、枯らせては可哀想と思い止めました。  部屋には、さつきに囲まれたお母さんの写真が、花を添えています。 

最後になりましたが皆様、元気そうで何よりと思ってます。  寒さに向かい健康には十分気を付けて、お過ごし下さいませ。  近日中に又、便りします。
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by paridayori | 2011-11-19 08:28 | 街並 | Trackback | Comments(0)

休戦記念日

1972年11月11日(土)
マロニエの葉は散果て、プラタナスが葉を残すだけの歩道の並木。  街角には芳しい香りと共に焼ぐり屋さんが出現、 冬将軍の到来も真近。  今日の土曜は、休戦記念日の祝日と重なって居ます。  去年の11日は着いて四日目、昨日の様にはっきり覚えています。
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凱旋門近くの安ホテル~ 屋根裏部屋で薄暗く染みだらけの汚れた壁~ 今にもお化けの出そうな部屋。  寝ると体が スッポリ落ち込んでしまう、スプリングの壊れたベッドと、戸の壊れた洋服ダンス~ 小さな机と椅子。  窓からの眺めは トイレと隣の古ぼけた階段。 見上げる空は四角かった… 

とても寒い曇り日、凱旋門に近かったのでパレードを見た後、ホテルへ戻り、所持金全部入ったお財布が無いのに気付き、青くなって探しに~ 帰りがけお茶を飲んだカフェに落ちて居たのを、ご主人が拾って預かっていて  呉ました… 

あれから一年~ 今朝は薄日が射していましたが直ぐに曇り、雨やあられが降り~ 止んで青空を見せたと思ったら又、 どしゃ降り雨。  部屋は余り寒くないので未だ暖房してませんが、 近くのパン屋さんに行く時、 セーターに薄手コートを 羽織って外へ出てびっくり、 冷たいの何の~~  昨日頃から急に寒く今日は一段と…  温度差が激しく気紛れです。

一年経った今、気候は同じでも私の生活は天と地の違い。 同じ屋根裏部屋でも明るく黄色い花柄の壁紙、白い料理台… 小じんまりした可愛い部屋。  色々不便な点や不満を上げればきり無いですが、一年前を思い起こせば充分過ぎます。 
通りの角に面した部屋で窓の外に広がる景色、空はとても広く爽快です。  左手遠方にエッフェル塔を臨み~ 冬の暗い朝~  そして夜は下を走る車のライトが華やかです。  車やバイクの騒音も有りますが~  マダム・オノレのお喋りに比べれば静かなもの。 

ラピドスのアトリエ迄の通勤時間は、メトロと徒歩を合わせて30分程。  二つのコースが有ります。  一回乗り換えと~ 二回乗り換えで時間は同じですが、二回乗り換えで通っています。  パスツールからトロカデロ間、途中メトロが地上を 走りセーヌを渡ります。 その車窓からの景色が大好きです。
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夜はセーヌの河岸を走る車の波がキラキラ星の様に美しく~ セーヌに映る影も光を放つエッフェル塔も、仕事の疲れを癒して呉ます

この一年、色々経験しました。 フランス語は全く駄目です。 でも仕事はラピドス店に来て3ヶ月(内一月夏休)を経て、少しづつ認めてもらえて居る様です。  サロメの様に極端に褒めたりはしませんが、絹の薄手でワイシャツの袖口や衿等、 部分的ですが細かい面倒な仕事を任されます。 

正確に言えば、私は洋裁教室を出ただけの 未経験者。  そんな未熟者がこの7ヶ月間で、オートクチュールのクチュリエになれただけでも、光栄です。   『来て本当に良かった』 と 思ってます。 

今が順調だから言うのでは無く~ 例え今の、この結果が無かったとしてもこの一年、無駄では無かったと思います。  未だ滞在/労働許可証取得と言う、難問が残って居ますが。。。

然し、こうなれたのは決して自分一人の力では有りません。  仕事が無い頃、色々な問題にぶつかり動揺し、沈んだ気持ちを励まし支えて呉たのは、家族からの手紙や声の便り。  そして又、多くの友人の支えも~   本当に皆様に感謝して居ります。 有難うございました。
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by paridayori | 2011-11-11 07:16 | 風景 | Trackback | Comments(0)

夕闇迫る階段

1971年11月7日(日) 巴里のお針子を夢見て羽田を飛び発ち 今日で丸40周年を迎えた。
   夕闇迫るサクレクール寺院への階段をのぼると 目のまえに広がる巴里の街
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  モンマルトルの丘から巴里の街を見下ろす度 ≪お針子ルイーズ≫ に 思いを馳せる  
  世紀末の巴里は下町モンマルトルの丘から見れば大都会、巴里に憧れ親の許さない恋人 若い詩人ジュリアンを     追って家出した、グスタヴ・シャルパンティエのオペラ ≪ルイーズ≫ の主人公
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私の憧れた巴里の恋人は オートクチュールのメゾン東京~巴里間のフライト距離は今の倍  情報も無く電話さえ侭ならない不安な状況の中、単身渡仏を許し  ~~~ 好きな道を自由に歩ませて呉れた両親に 改めて感謝する日々~~~
                                                        2011年11月7日
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by paridayori | 2011-11-07 07:15 | 風景 | Trackback | Comments(0)

人生色々

1972年11月4日(土)
巴里はめっきり冷え込んで参りました。  皆様、お変り無くお過しの事でしょう。 新しい住いに移り生活は順調 です。  アトリエが賑やかなので家へ帰った時くらいは、一人静かに自分の時間が持てる方が気楽。  慣れない頃は言葉の問題や色々の点から、下宿の方が安心でしたが…
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ラピドス店は急ぎの仕事も有りますが、前のサロメの様に滅茶苦茶で無いので気は楽です。 時には頭に来たり 苛々する事も有りますが~ 今の所、サロメより雰囲気は和やかです。

一緒に仕事をして居るフランス女性のマダム・シモンヌ⇒マダムと呼んでますが、未婚で12歳の子供が居ます。 20年間オートクチュールのグレに居て、此処に来て三年目~ とても面倒見の良い人で  『何でも教えるから  聞く様に~ 』  と言って呉ました。  彼女の仕事を見たり聞いたりしながら、仕事を習得したいと思っています。

さて富士山はもう雪の帽子を被っている頃かしら~ 昨年、発つ頃どうだったか忘れましたが、あれから一年。 今現在は順調の様に見えるけど、この一年を振り返ると、決して生易しいものでは無かった。  巴里に来るのは易しいけれど、言葉のハンディを抱えながら仕事をし、生活するのは何と難しい事か~  巴里に限らず人生は単純でないから面白いのかも~  でも笑っては居られなかった…  この辺で、又書きます。
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by paridayori | 2011-11-04 07:22 | 風景 | Trackback | Comments(0)

独り立ち

1972年11月2日(木)
ご無沙汰して居ます。 皆様、お変り有りませんか? もう11月ですね。 昨日は祝日で一日中寝ていました。  
こう書くと如何にも物臭の様ですが~ 実は先週の土、日に引越しました。 その後、体中がだるくて昨日は一日中 横になっていました。
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一年間も生活すると増やすまいと思っても荷物、がらくたが溜りますネ。 来た時たった20kgのサムソナイト 一個が、 今はミカン箱ならぬエヴィアンの箱7~8個になりました。 昔からの貯める習慣が抜けません。 

この荷物を エレベーター無しの7階まで運んだので、日常使っていない両腕、両足の筋肉の疲れは1~2日で抜けない様です。 でも此処は空に近いので眺めは抜群~ 今迄は中庭が多かったので、窓を開けると直ぐ前は お向いさんの窓でした。

一年目にやっと《独り立ち》出来ました。 下宿生活の不便さや部屋探しで色々な部屋を見て参りましたので、300フランのこの部屋は不便や欠点も有りますが、他に比べ申し分の無い部屋です。 若し此処しか知らなければ不便な面だけが 
気になりもっと良い所が有るのでは~?と 欲も出るでしょうが、幸い部屋探しだけは経験豊富。 今、省みても良い経験だったと思います。 

エッフェル塔のマダム・フォンテルの所に落着いて、安閑としていたら上も下も知らず、ズルズルと暮らして居たかも~ 
思えばあそこの400フランは相当割高。 マダム・スピラの250フランの部屋。  あそこは一軒屋だったせいか~ 自分の部屋はそれこそ物置みたいでしたが、玄関を入り部屋までの階段、廊下等は古いお屋敷を  思わせリッチな気分も味わえました。

マロニエ通りの300フランは超割高。 一つ救われた事は《バルコーニ》からのレトロな眺め。  部屋に水も湯も無く、朝コーヒーを沸かす程度のキッチンで、味気無い所でした。
 
トロカデロのマダム・フリーマンの所はまあまあ。   殆ど毎日、お風呂かシャワーを浴びて、キッチン使ってお料理も出来たし、マダムのお料理も美味しかった。  50サンチーム払って電話も自由に使えました。 メトロの駅から少々有るので夜道を別にしたら、380フランは妥当。 只、隣室のカナダ女性のルースと生活時間がずれた事も有って、夜遅いと12時頃壁を叩き、朝早くから大きな声でラジオを掛けるし~休日は食べて寝て~全く自分勝手。 私も我儘だから人の事、言えないけど~ 

最後にマダム・オノレ~  最初は良かったけれど、最後は少々ヒステリックで時々前後の見境が無く、言う事はくるくる
変わるし~ 『9月にアパートを売って巴里を引払うから出て欲しい』と言ったかと思えば、10月に出る時には出ないでと
泣いたり~ 引っ越しは私にとって良い機会でした。 今の部屋、狭いながらも楽しい我家~ 又、次ぎの機会にゆっくり 紹介します。 では又  
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by paridayori | 2011-11-02 09:08 | 花:植物:自然 | Trackback | Comments(0)
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夢を叶えた落ちこぼれの巴里修行


by paridayori
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