巴里便り~今昔★オートクチュール修行@70年代

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長い物に巻かれない

1977年10月26日(水)
10月もあと僅かになりました。 皆様、お変りなくお過ごしの事と存じ上げます。 私の方は、昨日やっとプレタのコレクションが終り、ほっと一息と言った所です。 今回は本当に疲れたと言う感じです。 まあ今週末から四日間の連休が有るので、ゆっくり出来ます
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今日は、モノと二人:堪忍袋の緒が切れて、給料値上の申請に本社に行って来ました。 我々の場合は単なる値上げでは無く、技術に伴う給料の見直し要求です。 この後、シェフが呼び出され、幹部内の話し合い。 まぁ近いうち結論が出るでしょう。

若し幸いにも値上げになればもう少し頑張って~ 若し要求が通らない場合は、色々お世話にはなりましたが、私も出来る限り頑張ったのでこれ以上は無理です。 余りに矛盾して居る事が解ったので、今迄は有る程度我慢してましたが・・・

今回、正当に要求して通らない場合は、長い物に巻かれるつもりは有りません。 全く勝手なもので仕事が良ければサラリーが不満。 サラリーはまあまあでも仕事が不満と。 人間は何時も不満を抱いて居る様です。 満たされない物を満たす為の努力が、人間を向上させるのかも知れませんが。

我々のアトリエでは毎月の仕事を月末に集計するのですが、私の集計表は仕事内容が明確で、時間、その他、一目で解る様に出来ています。 シェフも『 皆こうして呉たら頭を痛めずに済むのに 』と言って居ますが、これは昔、日本ビクターでの事務経験が、無駄になっていないと言う事です。

それにしてもフランス語に不自由の無い、フランス人より明解なフランス語を書き、型紙を作って居るのですから、私の頭もそれ程、悪くは無かったのかも・・・高校時代の英語の赤座布団=赤点時代を考えると~ 数学の追試に親の呼び出しを受けたり。 落第すれすれの高校時代。[ 十年一昔 ]とは良く言ったものです。
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最近《 サザエさん 》を、アトリエに持って行って皆で笑っています。 姿、形、話す言葉は違っても人間のする事はどこの国も同じで、多かれ~少なかれ~ 似通った事が存在します。

さて冬時間に戻り時差が8時間になりました。 朝は未だそれ程感じませんが、夕方6時、アトリエを出ると心細いくらい真っ暗です。
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皆様、お体に気を付けて、お過ごし下さいませ。 では又。
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# by paridayori | 2016-10-26 10:09 | 諸々 | Trackback | Comments(0)

残業続き

1977年10月10日(月)
秋も深まり、次第に寒くなり始めました。 10月に入ってから暖房も入り、冬支度と言った所。 久しくご無沙汰しております。 皆様、お元気でお過ごしの事と存じます。 
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10月に入り電話でもしたいと思ったのですが、10月1日(土)からずっと出勤。 朝から夜の8時半~9時頃迄、残業が続いてます。 幸いにも通勤が楽なのと、夜はタクシー使用ですので、まぁ今の所、体力は続いていますが~

何処の国も同じですが物騒な世の中。 8時過ぎに帰宅する時は、タクシー代を払ってもらいます。シェフもその旨、良く理解し、タクシー代が出ない場合は残業しないと、本社に言って有る様です

シェフも幸い、我々のアトリエは二人とも独身者なので、無理を言われても残業出来ますが、子供が居たり既婚の女性だったら、中々そう自由が効きゝません。 フランス人は既婚者の場合、旦那様の許可とか~ 残業を嫌がります。
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今は年に4ヶ月のコレクションを受け持ち、其の他は工場や外国向けの型紙作り。 仕事に追われる日々、シェフなど毎日、半べそです。 そこへ行くと我々は、もう段々開き直り、要求される事は全てやりますが、言いたい事もしっかり言ってます。

入社した5年前に比べ仕事内容は変り、全てに於いて向上していますが、私もアトリエに於いては大分変った様です。 性質、人間は変らない昔のまゝですが、アトリエでは、昔はおとなしい存在でした。 それは言葉が出来なかったからで、今は人一倍、おしゃべりしています。

型紙に書き入れる説明書きは、フランス人以上の完璧な説明入りの型紙を作り、何処の工場からも評判です。 是はフランス語が完璧なのでは無く、作る事を知っている為、作る人に解り易い説明を書き込んで居るので、造る人が直ぐ理解出来るからでしょう。
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店にとっても我々の様な、何でもこなす融通の利く人間は少ない様です。 型紙、サイズのグレーディングは完璧、オートクチュールも縫えて~ その上、プレタポルテの工場向けには、如何に簡単に早く問題なく縫製出来るかを、探求しながら型紙を作っています。 

その為には、縫製行程を自分自身、頭で計算し、時には見本を作らなければなりません。 フランス人に比べ未だ不十分な言葉使いで、フランス人を相手に説明しながら縫子さんを使うのですから、一日中緊張し、終るとほっと一息。 家でしたい事も有るのですが、10月一杯は何も考えず仕事します。
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≪ 1980年代始 @ 出来上がった作品をラフスケッチ ≫
11月は四日続きの連休のあと、三日続きの連休と休みも続く様ですし、他に残業時間に伴う休養補償、と言うのが制定されて居る為、三日の有休休暇もあります。 今日はこの辺で。それでは又。
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# by paridayori | 2016-10-10 21:07 | 自作:ファッション:小物 | Trackback | Comments(0)

伊太利事情

1977年9月21日(水)
9月中旬を過ぎたと思ったら、早々に肌寒くなって来ました。 何と無く、今年は寒い冬になりそうです~ と言っても急に寒くなると毎年、思う事で実際には毎年同じ様ですが・・・皆様、お元気でお過ごしの事と存じ上げます。 先日、和江さんからのお便りいたゞきました。 有難うございます。 
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さて、シシリーからの絵葉書届きましたか? 数人の友人から『未だ着かない』と、何時も言われているのですが、もう一ヶ月になります。 まあ全てにつけ、イタリーと言う国は当てにならない国ですが。 イタリーと言えば、色々物騒な話も多い様です。 巴里に住むイタリア人でさえ 『 気をつけなければいけない 』と話しています。 
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おまわりさんなど宛にならず、反対に泥棒と通じて居る事も有るそうです。 観光客、外国人に限らず、イタリア人も狙われるそうです。 まぁそうですよね。  泥棒が国籍聞いて盗む訳では無いのですから~ 我々東洋人は外見で外国人と解る為、より狙われ易いですが。

夏休み友人夫妻の車で一緒にイタリーを縦断した時、イタリーで二泊したわけですが、一泊目は北の方、ボローニャのモーテルに泊ったのです。 北部は未だそれ程、貧しくないので比較的安全だそうです。 
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≪2016年8月 @ オランジュ:強風ミストラルになぎ倒されるカフェのパラソル ≫
此処では車をガレージに止め、トランク = 旅行カバンも車の後ろに詰めたまゝで泊りました。 二泊目は南下し、ナポリ近くのモーテルに泊ったのですが、此処ではトランクを車から下ろし、ホテルの部室まで持って行きました。 シシリア人の友人は『この地区は危ないから』と警戒して居ました。

夏休みが終って聞いた話ですが、シシリア人の紳士物:オートクチュールのシェフが、シシリーからの帰りナポリで荷物を全部、車の後ろに詰めたまゝにして泊ったそうです。 あくる朝、車ごと盗まれていて、後になって車だけ見つかったそうです。 皆は『馬鹿みたい』と話して、何と無く盗まれるのが当り前と言う感じの話でした。
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9月22日(木) @ 此処まで書いて昨晩は眠ってしまいました。 今夜も続きを寝床で書いていますが、もう11時半、書き終えないうち又眠ってしまうかも~
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今日は家に戻ってから、業務日誌の6月分~ たまっていたのを書き終えました。アトリエにノートを置いて、家で寝しなに想い出しながらメモして置くのですが、時には二~三週間たまってしまい、其れをノートに写し取るわけです。
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≪ 2016年8月5日 @ 4年振りに田舎の自分の部屋へ戻る様な~ いつも親しみのあるオランジュの宿 ≫
三ヶ月毎に経理の方から仕事と、要した時間を聞かれるので、一日を出来るだけ詳しく日誌に付ける訳です。 まぁフランス語の勉強にもなりますので苦にはなりませんが~

近々、プレタポルテのコレクションの仕事が始ります。 又、忙しくなりそうです。 日本で行われるコレクション用の見本造りも有り仕事に追われます。 失業者の多い現在、喜ぶべき事なのでしょうか? 仕事に追われると言う事は?! では皆様、お元気で…
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# by paridayori | 2016-09-21 06:10 | 風景 | Trackback | Comments(0)

夏休み明け

1977年9月13日(火)
9月に入り良いお天気の続いている巴里です。 今年は、7~8月と好天に恵まれず、皆で嘆いていた所でした。 皆様、お元気でお過ごしの事と存じます。
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今年の夏は日本もだいぶ雨天が続き、気温も低かった様ですが~?? 又、聞く話に因りますと、あちこち火山が活動し始めて居る様ですが… 

シシリーからの帰り飛行機の中から、ナポリの火山を真上から見下ろしました。 休火山ですが… シシリーのエトナ火山は活火山で、絶えず白い煙を吹いていました。 私の着く少し前までは、夜、真赤に燃え上がる火が見えて居たそうですが、近くに住む人々には不安な事ですね。
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さて先日、垣田さんの所で《夏休みの報告会》の様な形で集り、深夜まで話しました。 垣田さんは、8月二週間、ニューヨークへ行って来たそうです。 今迄、人に聞いた話と現実に見ての印象は異なり『 百聞は一見にしかず 』だと言っていました。 人生、若し可能なら実際に体験、経験するに越した事は無いですね・・・

アメリカも惜しい人を亡くしましたね。 プレスリーファンはヨーロッパにも多かった様です。 さてその偉大だったプレスリーの如く、垣田さんの印象では『何もかもが雄大、偉大で何のかんの言ってもやはり世界の大国を、感じさせられた 』と話していました。 又『 文化財も豊富で、昔ヨーロッパから買い占めた良い物や、本物をヨーロッパ以上に持って居る様だ 』との話です。 巴里以上に日本人の多い事、日本料理店の多いのにびっくりしたそうです。 
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≪ 2016年8月6日 世界歴史遺産の壁をバックに*椿姫 * 舞台装置 @ 南仏:オランジュ音楽祭≫
さて、すみえさんは昨年と同様、婚約者の彼と、キャンピングカーでフランスの海岸線を辿ったそうですが『 雨にたゝられ、小麦色になるどころか、予定より早く引揚げて来た 』と言ってました。ある晩は雨がひどく、流されるかと怖かったそうです。 一つ良かったのは『 生のイカが食べられた 』と我々を羨ましがらせました。
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≪ シンプルな鏡枠だけの舞台が~ CG映写で眩いシャンデリアの豪華なサロンに~変身 ≫
彼女は、7月頃から [ 結婚、結婚 ] と言いながら何時になる事やら、延び延びになっています。 結婚する事を田舎の実家に話したら『 勘当になったみたいよ 』と言ってました。 お正月に帰った時、ちょっと話したゞけで大変な問題になりそうだったので、早々に引き揚げて来たけれど~と言っていました。
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 全く人生思う様に行かないものです。 私など堅物の友人が多く浮いた話も出ません。すみえさんに言わせると、色気が無いからだ~と、私のせいにしてますが… まあ他の事はさて置き、恋愛に関しては経験不足は事実の様です。 半面、仕事の方は順調で、相変わらず忙しい毎日です。 夏休み明け早々に、一着オートクチュールの注文が有り、早速、早朝出勤~残業は何時も通りです。 

故ポンピドー大統領の秘書をしていた人で、今でも政治関係の仕事をして居る方の注文だそうです。 今週は、コレクションの残りの新作サンプル作り。 15日の一般向けのショーの為。 其の他、ブラジル向けの型紙、見本作り、工場への型紙等・・・
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≪ 2016年8月6日 オランジュ@アンティック劇場で観劇 頑張って働いた甲斐有って¿ 老後の愉しみを満喫 ≫
10月に入ると直ぐに、プレタポルテのコレクションの見本作り~ 其の後、11月はその新作サンプルの型紙作り。その先は~? 仕事の予定だけ見ても、今年もあっと言う間に終ってしまう様なスケジュールです。 

7月の始めに工場に出した型紙や、始めてのグレーディングの、商品が上がって来るのが、心配です。~が、話に因ると『 工場から好評だと聞いている 』との事。 問題なく商品が上がって来ると良いのですが。

お父さんも畑の手入れに、お忙しい事でしょう。 お母さん、天気が悪いと神経痛が余計痛むと思いますが…  

今の所、税金を払ったりヴァカンスで使ったりで、相変わらずフーフー言ってますが・・・10月に入ったら又、電話したいと思います。 当てにせずに・・・ では又、皆様お元気で・・・
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# by paridayori | 2016-09-13 05:49 | 趣味 | Trackback | Comments(0)

小麦色の肌

1977年8月30日(火)
夏休みもあと一日を残すだけです。 今年の夏は生れて初めて小麦色の肌になりました。 空と海が一体となった青く澄んだ濃いブルーでした。 湿度が無い為しのぎやすく、夏に弱い私もへこたれず、食欲旺盛で、毎日スパゲティーを食べて居ましたが、太った様子も無く健康そのもの、素敵なヴァカンスでした。
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≪ 2004年7月 テラスから眺めるVieux Port :古い港 @ マルセイユ ≫
泳いだあと日に干し洋服着て、潮風に吹かれても体がべとつく事が無い程、空気が乾燥していました。 焼け付く様な陽射しで肌は一日で小麦色、欧州人の好きなブロンズに…

さて今回は単なる観光旅行とは違い、色々な家庭や村を訪れた為、国の習慣やら生活を、垣間見る事が出来ましたが、非常に暑い夏と言う自然を考慮した建築となって居ます。

食生活ですが主食となるスパゲティは小麦がとれ、トマトは太陽で真っ赤にうれ味が濃く、オリーブ油で料理。 これで腹六~七分目、満腹です。 これ等は全て自給自足。
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服装でちょっと気になったのは、年配の女性に黒い洋服を着た人が多く見られました。これは島の習慣で、家に不幸が有った人は黒を纏うとか。 それにしても、この暑い夏、黒のコートに黒のスカーフを頭から被り~ 黒の靴下と言ういでたち、古い習慣が未だ根強く残っている事を感じさせます。

この島は、信心深く、村の中や家の中にもキリストを祭った小さな神棚の様なのを、見かけました。 是は日本の神棚や仏壇と同じでしょう、フランスでは殆ど見られませんが。 国、村の伝統習慣は其処に生まれ、育ち、生活する者にしか理解出来ない事もあります。 
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≪2004年7月 夏の強風*ミストラルに波しぶきを上げ荒れ狂う夕暮れの海 @ マルセイユ ≫
若い世代の人達が日本を良く理解し、良い伝統や習慣を受継いで、行かなければならないでしょう。 それでは又
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# by paridayori | 2016-08-30 18:04 | 風景 | Trackback | Comments(0)
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夢を叶えた落ちこぼれの巴里修行


by paridayori
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