2012年3月某日
≪シャネル・オートクチュール:日本初開催≫ の記事を目にして、懐かしいカール・ラガーフェルドを思い出した。
日本企業現地法人を任されて居た頃 80年代初めから5年近く カール・ラガーフェルドとのライセンス業務に携り
一緒に仕事をした経験が蘇る カール氏が未だ ≪ Cloe:クロエ≫ のデザイナ―だった頃
ご自身 ≪ カール・ラガーフェルド ≫ ブランド:コレクションを日本で展開する為、日本企業数社とライセンス
契約を結び、氏から提供されるデザイン画の製品を日本で生産、ブランドネームを付けて日本で販売。
直筆デザイン画のファースト:サンプルは全て承認を受ける事を義務付けられ、ご自身が立会ってサンプル・
チェック : 修正をされた。 日本から届いた試作品を持って カールの前でチェックを受ける。 氏は太い黒の
マジックを片手に修正をサンプルに書き入れて行く~ 指摘された修正部分の説明を日本へ通達~!!
修正部分を黒マジックで書き込まれた試作品を前に 日本の現場責任者はショックを隠せなかった。
そんな事情から『ファースト:サンプルのパターンは 巴里で制作して欲しい』と要請を受け 試作品オリジナル
パターンを担当 シーチングと呼ばれる白布で立体裁断後 写し取った【ペーパー・パターン:型紙】を日本へ
送付 自社工場で制作
自分のパターンで上がった製品を持って カールの試着チェックに立ち会う緊張感は思い出しても想像を絶する。
幸いこのサンプル・アプルヴァル:試作品承認チェックでは毎回、全パターン:パーフェクトの評価を頂き、
此の頃から少しずつ個人的に自信が付き始めた。
テッド・ラピドスを辞めてからは、私物にしか生かせなかった立体裁断のカッティング技術経験~ ラピドスと全然
違うタイプのデザイン:カールの描くデザインのイメージを理解し カッティングに全てOKが出た事は嬉しかった
本物を知る方に出会い 直接仕事が出来た事は、非常に価値ある貴重な経験だった。 テッドの頃は 試着に直接
立ち会えるのは アトリエ責任者:チーフだけだった。
≪ウィーン市庁舎前の公園の噴水≫
『 泉の様にアイディアが湧く 』と自称するカール・ラガーフェルド 発言通り幾らでもアイデアの湧く
頭の回転の速い方だった。 頂いたラフスケッチのデザイン画に於ける細かいテクニックの説明を求める
質問でも驚く対応。 仏語で質問する当方と反対側に英語で質問する他社の担当者 同時に二人相手:
真中に座るカール~ 右左の質問に英仏の言葉を使い分け即答~お見事だった~!!!
現代社会、本物:価値ある物が失われつつある今日、中々遭遇出来ない人物や作品との出会いは素晴らしい事
である。 然し当時は記念撮影とか余り興味無く 一緒に写真撮ったり サインを頂く日本からのスタッフを横目に
『 何時でも出来る 』とサインも頂かず 然し胸の底に残る評価された技術を身に付けた喜びは 写真やサインより
貴重な宝!!! 或る日 『 カールがシャネルと契約!!』 のニュースが舞い込んだ。 その後は益々ご多忙な氏
残念ながらライセンス業務は アシスタント対応に移行する日が多くなり サインや写真撮影は叶わなくなった
トホホ~**
当時、現在の倍近い体格~ 毎回、打合せの度~ サントノーレ通り ≪ ルドワイヨン ≫ のお菓子の包みを
持参して皆に振舞って呉た。 本格的にシャネルとの取組みが始り ダイエットに挑戦 ?!! 当時、色々噂が
飛び交ったが 成功してスリムな体型を保持 何時迄も現役で活躍を続けるお姿 ファッションに限らず~
写真:建築:アート様々な方面に挑戦 邁進されているのは素晴らしい !!!
本国、ドイツ語は勿論、英語、仏語をパーフェクト、毛皮ブランド:フェンディのデザイナーでも在った為
伊語もマスターされて居る筈?と推測が及ぶ 超インテリ 服飾に興味の無い仏友人がTVのインタビューを観て
その博識に驚いていた。 経験を積んだ本物を知る数少ないデザイナー 何時迄も頑張って世界の服飾界に
影響を与え続けて欲しい~!!
≪NYメトロポリタン・オペラ広場の噴水≫
≪ 2016年4月13日 NY.MET.OP * 1986年 自作コート@ カシミヤ100%:30年来 ほゞ毎冬登場 ≫ 苦笑
★1972年12月8日 ≪ 師走 ≫ 掲載写真は、カール・ラガーフェルド氏、ご自身をイメージして制作された
【プランタン】 百貨店のショーウィンドー*ウィットに富んだ非常にユニークな氏のアイディアは
大好評を博した~★☆★
@余談
1971年 ココ・シャネル没後 @ カール・ラガーフェルドがシャネルと契約する前 シャ(Chat=猫)ネル(寝る)
仏語+日本語⇒造語 《 猫寝る 》 と在仏日本人服飾界人は暗に 退屈なコレクションを 冗談交じりに 揶揄して居た
当時、オートクチュールやプレタの招待状は『 行く~?? 』 と頼まずして 届いたが カール担当に因り大飛躍を
遂げ今や シャネルの コレクション招待状は 争奪戦📧!!!【Chat(シャ)寝る】時代が懐かしい~トホホ !!
個人的には最高級素材に芯を入れず独特の素材を活かした仕立て 美しい コレクション:カールの前任者 マルク・
ボアンの頃 メゾンでショーを堪能させて頂いた貴重な経験 著明な仏女性政治家の隣席で緊張したが優雅な時を
過ごせた懐かしい想い出 鮮明に残る記憶
~~~~~@~~~~~~~~~@~~~~~~~~~@~~~~~~~~~@~~~~~~~~~~@~~~~~