1974年6月16日(日)
昨日、今日と大変暑く、この屋根裏部屋の住み難い季節がやって来ました。 ご無沙汰して居ります。
皆様、お変わりなく お過ごしの事でしょう。 目もすっかり良くなり、嘘の様に綺麗に直りました。
左目のまわりが薄っすらと赤く残って居るだけです。 この原因が解りました。
現在、左上の奥歯を治療中ですが、歯医者が言うには 『 治療に使った薬のせいだろう 』 と言う事です。
今まで、相当歯医者通いをしましたが、まさか歯の治療薬が原因だった何て全く思いも及びませんでした。
言われて 『 成る程 』 と。そう言えば腫れたのは最初、左目だけで右目は最後に左から移った為。
腫れ始めも下瞼から上瞼の順に腫れ、腫れている所は柔かく左頬は硬くなって居ました。
其れにしても、とんだ「目」に有ったものです。 様子を見に来たシェフのマルタでさえ
『 あんなに酷いの見た事無い 』 と驚いていました。 病院でもガーゼを外して顔を見た女医さんが
『 あっ! 』 と、あまりのひどさに声をあげて驚きました。 あの状態から良く此処まで治ったものです。
フランスの医療に感謝です。
昨日(土)はやっと目も治り気分良く散歩に出掛けました。 前から欲しい靴が有り [ フランソワ・ヴィヨン ]
という店へ。 欲しかった靴は丁度安売で半額以下でした。 此処の店員さん何時も一人で、キリキリ舞い
して居ますが、フランス人の販売員にしてはとても感じ良く、靴に対しても知識が豊富で手入れの仕方迄、
良く教えて呉ます。 買わない時でも時々寄って、お客さんが居ないとお喋りして来ます。
《 フランソワ・ヴィヨン 》は、ラピドスがコレクションに使う靴のデザイナーで、コレクションが終ると
モデルさんの履いた靴を社員に格安価格で売って呉るのですが、モデルサイズですから大き過ぎて履けません
でも素敵なデザインの良い靴で好きです。
先日、モニックの田舎に行った時、帰る日の昼食はお祖父さん、お祖母さんも一緒でした。
お祖父さんは私の生れ年のワイン:赤 & 白を選んで持って来て呉れました。 自家製*ぶどう酒で、
出来た年から寝かせてあったワインでしたが、 残念ながらお酒は飲めません。では又――
~~~@~~~~~@~~~~~@~~~~~@~~~~~@~~~
PS.古い手紙を読み直しながら~ 此の頃 【 フランソワ・ヴィヨン 】 で色々聴いた靴の知識もまた、
後の、J.M.WESTON 社との仕事に役立つ経験に、なったのだろう~と懐古する。。。
母が口すさんだ好きな言葉 『 なんでも経験だョ~』 が、何時も脳裏を過る~***